リバーレースについて

Leavers Lace
リバー レースについて
~ 200年の時を越えて、なお愛されるレース ~

リバーレースは、16世紀に始まりヨーロッパで流行したハンドメイドのレースが、イギリスの18世紀産業革命を経て、機械化され一般に浸透したレースです。極細の糸を10,000~20,000本程使用し、色々な模様に撚り合わせて編むことにより、繊細で優美な表現の豊かな柄が特徴的です。手工レースの原理を応用することによって、経糸に複雑に絡み合い立体感に溢れるデリケートな模様が生まれ、モチーフに柔らかみのある最もハンドメイドに近いと言われている機械レースです。数ある異なるレースの種類の中で最も繊細で気品に満ちており、現在では製造できない貴重で伝統あるリバーレースの機械本体は、世界でも限られたメーカーのみが保有し、継承される高度な生産技術と熟練の技から生まれるリバーレースは大変希少価値の高い芸術品であり、機械レースの中でも最高級レースとされています。

王侯貴族が愛した華麗な装飾品としての優雅さは時代を越えて今に受け継ぎ、その洗練された美しい最高峰の織編で仕上げられたリバーレースは本物の気品、その深みと豊かさを愛してやまないエレガンスを極めた多くのオートクチュールメゾンの熱い支持を受け、現代のミューズたちを魅了しています。また、プレタポルテ、高級ランジェリーやブライダル (ウェディング ドレス) に多く使われています。

リバーレース機
ジョン・リバー John Levers が、イギリス ノッティンガムにて、イギリス人 ジョン・ヒースコートによって 1808年に発明されたプレーンのネットを生産するボビンネット機 (別名 Old Loughborough machine オールド ラフバラー機) を基に 1813年に開発したレース機。1823 年頃まではは 60インチのビームに毎分80回転のシンプルなネットが中心に生産されました。この機械に徐々に改良が加えられた中で、1837年にはジャカード システムが取り込まれ、ライナーの役割を果たす太めの糸が取り込めるようになったり、複雑な柄を作れるようになり、よりハンドメイドに近くなります。

機械レース産業は多くの富をイギリスにもたらし、この産業を独占するため政府はリバーレース機の輸出を固く禁じます。しかし、1816年にドーバー海峡を越えてフランスに機械が持ち込まれてから、1987年を最後にリバーレース機の製造は終わっており、現在では世界に現存する約700台の機械のうち80%をフランスが所有しています。

リバーレース機の構造
120インチ (300cm) の機械1台でおよそ 17トンの重さ、40000のパーツと12000~50000本の糸を設置することができます。巾は基本的に 9インチ (2.3cm) の倍数間隔で設定でき、単数の基本単位である web (ウェブ) は、1/4 ヤードとされています。

6m の鉄製で10トンを超える機械はもう生産されていません。当時のものをメンテナンスすることにより200年越えた今でも使い続けています。30~50デニールの細い糸で1台に設置される5000本もの前後に動く銅製のボビンとジャカードと呼ばれるパンチカードによって動作するバーにガイドされて左右に走る経糸が撚られます。ビームに整経された 10,000 本以上の柄糸や芯糸が、それぞれのボビン糸に絡み合って複雑な構造になっています。

リバーレースで使用される糸
元々は絹糸 (シルク) や綿糸のみが使われていましたが、1950年代に開発された人工糸が取り入れられたり、1980年代の始めにはインナー用に主に使われるストレッチ糸が導入されたりしました。

リバーレースの加工
リバーレースにさらに高級感を出すため、様々な加工がされることがあります。コード加工で柄をより柄を引き立たせたり、普通糸や特別な糸で刺繍加工をする他、ラメ糸を使用したり、フロッキー、スパンコール、カレンダー、樹脂加工などが施されています。

リバーレースの歴史
20世紀始め、リバーレースはハンドメイドからその精度の高さから機械生産のものが主流となります。オートクチュールの誕生と共に、レースがファッションに高く評価され頻繁に取り入れられるようになりました。1920年代やマシーンレースの黄金期となる30年代は特にこの傾向が強くなります。そして1950年代や60年頃になるとディオール、シャネル、バレンシアガ、カルダン、ランバン、バルマン、ジバンシィ、サンローラン、バレンティーノ、ニナ・リッチなどのトップ デザイナーによってカクテル ドレス、イブニング ドレス、ウェディング ドレスが作られるようになります。1960年代にプレタポルテ コレクションが誕生するとより多くの人に広がるようになります。

主な輸入 (舶来) リバーレース産地
フランス北部
イギリス
アメリカ

リバーレースの種類
リバー レースの中でもさらに下記の特別なタイプのカテゴリーに分けられるものもあります。
・クルーニー レース Cluny Lace
元々はフランスのクリュニー地方で18世紀頃に作られた手織りのトーション・レースの一種ですが、トーションレースが簡素な模様のに比べてポワン・ディスプレ等を取り入れた柄や風合いが特徴的。

・シャンテリー タイプ Chantilly Lace
17世紀にパリ・シャンティイで作られた事からこう呼ばれる様になり、18世紀に流行ったレースです。元々は、リネンやシルクで作ったボビンレースで、細いコードで外郭を縁取っているのが特徴です。透明感と薄手で柔らかみが特徴的。

・アランソン タイプ Alençon Lace
18世紀後半特にフランスの法廷で流行したフランス アランソン地方発祥のレース。きめ細やかなメッシュにデリケートで細かな模様、小さなピコで装飾されていることが特徴的。

・リヨン レース Lyon Lace
1800年代後半よりフランス リヨンで使用されていた機械を復活させ現存する世界でたった3台しかない機械で作られるレース。より複雑で生産準備工程で各柄をセットするだけで2日から1週間かかり、1時間に30cm程しか作ることができないヴィンテージの機械で作るヴィンテージ。最新の技術を持つ機械でも相当の物を作るのは不可能と言われている複雑な編地と大きな柄パターンが作れることが特徴です。綿100%の暖かく素朴な風合いと職人の手加工によるメンディングとコード糸がオリジナルの柄を引き立てます。

参考
Leavers machine (https://en.wikipedia.org/wiki/Leavers_machine)
Dentelle de Calais – Caudry (http://www.dentelledecalaiscaudry.fr/)
Lace, Its Origin and History (https://en.wikisource.org/wiki/Lace,_Its_Origin_and_History)
LEAVERS LACE – A Hand Book of the American Leavers Lace Industry by Vittoria Rosatto