レースの歴史

レースの歴史

レースという言葉は、もちろん英語の LACE からきたものですが、その語源はラテン語のラク (LAQUEUE) から転じたとも言われています。ラクとは 「わな」 とか 「輪索」 の意味でレースが漁獲や狩猟に使う網にその形状が似ていることから、この様に呼ばれるようになったのでしょうか。

レースの歴史をたどれば、紀元前の狩猟時代にまでさかのぼります。中世の手工業時代にレースは王侯貴族のもので庶民がレースを使うことを禁じた時代もあり、織物の 「王様」 の名にもふさわしいものです。14 世紀末から 16 世紀始めにかけて、白地白糸刺繍はさまざまに発展し、16 世紀初頭、麻地に刺繍した刺繍レースは、より透けるものが求められるようになりました。

そしてほんとうのレースが生まれたのは 1540 年頃といわれています。それ以降これらのレースは、ベルギーのフランドル、イタリアのヴェネチア、フランスのアランソン、シャンティ等で発展してきました。その後、18 世紀に始まった産業革命を契機にレースの機械化が進み、経編機からボビンネット機が発明され、 1813 年にはジョン ・ リバーによって今日のレースの原型となっているリバー レース機が誕生しました。エンブロイダリー レース機もそれからわずか 20 年後に発明されています。

わが国の機械レース工業は、大正時代末期に始まりました。きものの時代から洋服の時代となり、とくに第二次世界大戦の衣生活の変化は活発なレースの需要を喚起しました。今やわが国は世界でも有数のレース産業国となっています。また、年々輸出入も盛んになりエンブロイダリー レース、ラッセル レースの輸出、リバー レースの輸入などレースの国際交流も大きく行なわれております。

‘Lace World: レースの世界’ 引用